約10万年から5万年前の名もなき大地であった渋谷区域の地に、ナウマン象が闊歩していたことを教えてくれる化石が、区内の2か所から出土しています。
大いなる時を経て、昭和7年(1932年)に渋谷区は誕生しました。東京市の市域が拡張され東京市は15区から一気に35区に増え、渋谷区は当時の東京府豊多摩郡の渋谷町・千駄ヶ谷町・代々幡町の3町が合わさって成立しました。区としてはまだ80年にすぎませんが、渋谷区誕生の前史から現代までを紐解くなら・・・

『図説渋谷区史』

この1冊:『図説渋谷区史-区制70周年記念』(渋谷区 2003年)

『図説渋谷区史』は区制施行70周年を記念して平成15年に発行された一番新しい区史です。「図説」の名のとおり、670点にも及ぶ豊富なカラーの図版や地図・写真・図表を用いて、地質時代の地形形成に始まり、自然環境の姿、歴史のあゆみを簡潔な解説によりとても分かりやすく、区史ばかりではなく渋谷について知ることのできる、渋谷小百科事典的な情報溢れる一冊です。

『図説渋谷区史』の目次

図説渋谷区史 書影

渋谷区通史関係資料紹介

渋谷区ではこれ以前に2種類の区史を刊行しています。最初の区史は渋谷区成立後の昭和11年頃に企画され、戦争による中断があって昭和27年(1952年)に『渋谷区史 全』として刊行されました。したがって、その「現代」の記述は昭和13年までとなっています。巻末には「史料編」として、「町方書上げ・寺社書上げ・御府内場末往還其外沿革図書・東京府志料」のそれぞれ渋谷区域に関わる部分、及び「野崎家史料・吉田家史料・田中家史料」を収録しています。
その後、昭和41年(1966年)に区制施行30周年記念事業の一環として、あらたに『新修渋谷区史』が刊行されました。これは前区史を全面的に改稿し、上・中・下の3巻として、戦後の一画期となった東京オリンピックまでを記述しています。渋谷のことを調べるならまず当たってみる基本図書として、有効な情報源となります。索引はありませんが、巻末の年表からは記述のあるページをたどれるようになっています。また、平成23年には区政資料コーナーの手で『新修渋谷区史・索引』が作成されています。
通史としてはほかに、23区史シリーズの中の『渋谷区の歴史(東京ふる里文庫)』や『渋谷の歴史 渋谷昔ばなし』、『渋谷の郷土史』、『渋谷のおはなし』などがあります。