江戸市民への飲料水の供給と武蔵野の新田開発を進めることを目的として計画された玉川上水は、玉川兄弟によって多摩川羽村の取水口から四谷大木戸までの間を承応2年(1653年)4月の開始からわずか7ヶ月余りで開削されています。現在、渋谷区内では北部の笹塚駅附近の区内の高い地点を蛇行するような姿で往時の一部を偲ばせています。その先は暗渠の玉川上水旧水路緑道となって続いています。明治32年(1999年)に竣工した淀橋浄水場へ送水するために建設された玉川上水新水路も、昭和10年代には役目を終えて今は水道道路と通称される道路に変わっています。 その使命を終えて散策路に整備された玉川上水の上を逍遥きながらその歴史に想いを馳せるなら・・・

『渋谷の玉川上水』

この1冊:『渋谷の玉川上水 改訂版』(渋谷区教育委員会 1986年)

玉川上水は羽村の取水口から四谷大木戸までの約43キロメートルを90メートルほどの高度差を利用して流すという難工事でした。その設計と測量・工事から完成までと笹塚で分水する三田上水(後用水)や野火止用水を紹介し、明治25年(1892年)の淀橋浄水場建造に伴って杉並区和泉付近からほぼ直線に区内幡ヶ谷地域を貫き建設された玉川上水新水路が廃止されるまでの顛末を解説しています。

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渋谷の玉川上水 書影

玉川上水関係資料紹介

『新修渋谷区史 上巻』においても50ページあまりを、「中巻」でも近代の玉川上水・三田用水の記述をしています。『図説渋谷区史』には『上水記』の渋谷区部分の絵図が掲載されています。また、渋谷区内の玉川上水はいうまでもなくその一部にすぎませんので、玉川上水全体に関する資料の中から渋谷区部分を拾い集めることができます。『図解・武蔵野の水路 玉川上水とその分水路』などがあります。

渋谷区玉川上水関連資料一覧(PDF:155KB)

玉川上水

『渋谷の玉川上水』の目次

  • まえがき
  • 玉川上水の目的
  • 玉川上水之設計
  • 玉川上水の水路
  • 測量と工事
  • 玉川上水の取水口
  • 玉川上水水路の傾斜
  • 水路と地形・地質
  • 玉川上水の水漏れ防止
  • 工費
  • 渋谷川への落水
  • 三田・青山・亀有・千川上水とその廃止
  • 野火止用水
  • 玉川兄弟とその子孫
  • 玉川上水の新水路
  • 旧玉川上水ルート散策路
  • 新宿副都心高層ビル群