眠狂四郎が渋谷宮益町に、坂の途中の御嶽神社を訪ねるのは柴田錬三郎の小説世界のひとコマとして、岸田劉生の描いた「切通之写生」の切通坂(代々木4丁目)、店主が命名して有名になったスペイン坂など、谷と台地の街渋谷をめぐる道のアップダウンは数多くの坂を作りだしています。東京に18ほどもあるといわれる「富士見坂」のうちの2つの坂が渋谷区にあります。多くの無名な坂の中でもその名を残している坂道を見つけてみるなら・・・
『渋谷の坂』
この1冊:『渋谷の坂』(渋谷区教育委員会 1985年)
遠く富士山を望め富士見坂といわれて、『江戸名所図会』にも紹介されている宮益坂をはじめ、古くから名を残す区内の坂29箇所と区に隣接する4つの坂を取り上げ、その名の由来と坂にまつわる話を紹介しています。巻頭には所在場所を示す地図を掲載しています。
取り上げている坂
- 初台坂
- 日陰坂
- 弥之助坂
- やりくり坂
- 観音坂
- 勢揃坂
- 宮益坂
- 間坂
- 亀山坂
- 天狗坂
- 内記坂
- 羽沢坂
- 和田坂
- ビール坂
- 新富士坂
- 切通坂(代々木4丁目)
- 切通坂(代々木5丁目)
- 旭坂
- 八幡坂(千駄ヶ谷八幡)
- 榎坂
- ネッコ坂
- 道玄坂
- 南平坂
- 八幡坂(金王八幡)
- 代官山坂
- 南郭衷
- 堀田坂
- 伊達坂
- ネギ山坂
渋谷区に隣接する坂
- 目切坂
- 上村坂
- 別所坂
- 無名坂(名のない坂)
渋谷区の坂・道関係資料紹介
『渋谷区文化財マップ』の中にも坂の一覧と位置の掲載があります。新しく名づけられた坂の謂れや通りの名前は『渋谷区 観光ガイドマップ』などで紹介されています。区内の道の通称名は『渋谷区案内図』や『渋谷区観光ガイドマップ』などの地図の中や住宅地図で、また国道や都道の通称名は『区勢概要』でも確認することができます。