都会化が進み自然が少なくなってきている渋谷区ですが、区内には明治神宮や代々木公園、新宿御苑などの大きな緑地に恵まれていて、行政面積に対する緑被率は20.6%(平成15年度調査)あり、23区では4番目です。主にそれらの場所に生息する動物は平成10年(1998年)の調査によれば、鳥類39種、昆虫類155種、ネズミ類を除く動物類は9種が報告されています。また、区の天然記念物として広尾ガーデンフォレストの「大銀杏」や金王八幡宮の「金王桜」が指定を受けています。
区内にある緑地は寺社地に残る僅かな自然林を除けば、そのほとんどが公園・庭園などの人工造成されたものです。まるで昔からの自然の姿のままで、境内の大きな鳥居に覆いかぶさるほどに鬱そうとした木々が繁茂する明治神宮の森でさえも、造営時から人工的に計画された「自然林」だといいます。100年を迎えようとする神宮の杜の自然の秘密にせまるには・・・

『大都会に造られた森』

この1冊:『大都会に造られた森 明治神宮の森に学ぶ』(松井光瑶ほか/著 第一プランニングセンター 1992年)

渋谷・千駄ヶ谷・代々幡の3町合併によって成立した渋谷区は、区の名称案の中に「神宮区」というのがあったほどで明治神宮の存在を意識せずには考えられません。その区の中心ともいえる明治神宮が14候補地の中からこの地に造営されたのは大正9年(1920年)のことで、造営計画の中で百年後の森の姿を予測する植栽計画が立てられていました。活気ある原宿の街と対照をなすことになった静かな森がいかなる計画のもとに造られ維持されているのか、明治神宮の「自然林」の秘密を明かしてくれます。

大都会に造られた森 明治神宮の森に学ぶ 書影

渋谷区内自然関係資料紹介

渋谷の自然関係の調査報告書として『渋谷の草木』『しぶやの野草』『渋谷区内の野鳥』『土壌動物について』や『渋谷区みどりの実態調査報告書』『渋谷区自然環境調査報告書』などがあります。
また、『新修渋谷区史 上巻』『図説渋谷区史』に渋谷区の自然全般について解説があります。