訪ねあてる場所に辿りつくことは、今日ではGPSを利用したナビゲーションシステムのあるスマホがあれば容易にできるようになりました。でも、時代を遡った目的地を探そうとする時にはスマホでは難しいでしょう。1軒ごとの町並みを詳しく掲載する地図から目的場所の過去の姿を見つけだそうとするならば・・・

『ゼンリン住宅地図 渋谷区』

この1冊:『ゼンリン住宅地図 渋谷区』(ゼンリン 1977年から)

かつては航空住宅地図などとも呼ばれ、航空写真を元に地図化された戸別に、表札などから居住者を表示しています。アパートやマンションの入居者名やビルのテナント名は巻末の一覧表によって調べることができます。縮尺は概ね1500分の1で、毎年改訂されています。
渋谷区立図書館所蔵の渋谷区の住宅地図で一番古いものは、昭和32年(1957年)の『東京都全住宅案内図帳 渋谷区東部・西部』(住宅協会)です。古いものは毎年版が揃っているわけではありませんが、平成2年(1990年)以降は各年の『ゼンリン住宅地図 渋谷区』があります。

渋谷区住宅地図関係資料紹介

土地登記の「地番」が簡単に分かるようにした地図として、住宅地図に「公図」の内容を重ねあわせた「ブルーマップ」と呼ばれる「住居表示地番対照住宅地図」もあります。
「火保図」とも呼ばれる「火災保険特殊地図」は保険料率の算定のため、昭和のはじめ頃から30年頃まで作られました。製図会社が現地調査をして住宅地図のように一軒一軒の住宅が書き込まれ、構造まで分かる正確な地図です。区内全域をカバーしたものは揃いませんが、縮尺は600分の1の大縮尺です。
また、大正期から昭和前期に作られた商工地図とも呼ばれる『大日本職業別明細図 渋谷区』は全戸ではありませんが、商店・会社を中心に公共機関・寺社・著名人宅などの情報が載せられ、裏面は索引になっています。