暮らしている場所で、より身近に感じることのできる地域といえば、子どもだった頃に歩いて遊びに行けた範囲までくらいなのではないでしょうか。故郷といえるこの身近な地域にもそれぞれの地域史や言い伝え、伝統や誇りがあります。それらの身近な地域の風土を伝え残そうと編まれた地域の史誌の中からとりあげたのは・・・
『幡ヶ谷郷土誌』
この1冊:『幡ヶ谷郷土誌』(堀切森之助/編 渋谷図書館 1978年)
幡ヶ谷地域とは現在の本町・幡ヶ谷・笹塚の各丁目にあたり、住居表示施行前までは町名の頭に「幡ヶ谷」を冠した本町・原町・笹塚町・中町の範囲をいい、かつての幡ヶ谷村になります。村の記録を残してほしいという声にこたえた編者が、明治生まれの古老11人を交えて27回に及んだ会談の記録を元に、地元寺社の協力や編者自身の調査を経て編纂された、幡ヶ谷の歴史と伝承を知るのに貴重な記録です。
渋谷区内地域史誌関係資料紹介
幡ヶ谷に限らず同様に身近な地域の記録を残そうという地域の史誌類は数多く編まれています。『千駄ヶ谷昔話』『千駄ヶ谷の歴史』『渋谷区 大山町誌』『思い出の代々木山谷』『えびすの今昔』『渋谷道玄坂』『代官山考察「猿楽雑記」』『下渋谷風土記』『なつかしい穏田の思い出』『二軒家のあゆみ』『まちの記憶』『杜の絆』などがあります。また、学校の周年誌や地域実態調査報告書、町会誌なども、地域についてより詳しく知ることのできる資料です。
『幡ヶ谷郷土誌』の目次
1 幡ケ谷の地域と本書の目的
2 地名の起原考
3 地勢
4 沿革
- 明治以前
- 明治以後
5 道路・水路・交通機関
1 道路
- 國分寺街道
- 世田ケ谷道 (鎌倉街道?)
- 甲州街道
- 不動通り(大宮横丁)
- 二軒家道
- 中幡ヶ谷道
- 六號通り
- 笹塚駅前通り及び十號通り
- 農村時代からの其他の道略
2 水路
- 玉川上水
- 東京市新水道
- 其他の水路
3 交通機関
乗合馬車京王帝都電鉄乗合自動車
6 宗教 附 神社・佛閣・石佛等
- 氷川神社
- 市寸島神社
- 稲荷神社
- 榛名神社
- 大鳥神社
- 御獄神社
- 荘厳寺
- 法性寺
- 法界寺
- 清岸寺
- 地蔵窪地蔵尊
- 牛窪地蔵尊
- 本村地蔵尊
- 清岸寺人口庚申塔
- 笹塚庚申塔
- 幡ケ谷三丁目庚甲塔
7 教育 附 各學技
- 幡代小學校
- 笹塚小學校
- 本町小學校
- 西原小學校
- 中幡小學校
- 義務教育年限の変遷と六・三制
- 笹塚中學校
- 本町中學校
- 私立學校
- 帝京女子高等學校
- 富士見丘女子高等學校
- 関東學園女子高等學校
8 各種團體
- 義勇消防組
- 奨兵會
- 帝國在郷軍人会代々幡分會
- 代々幡町青年會
- 防護團(警防團)
- 愛国、国防両婦人会幡ヶ谷各分會