渋谷駅の待ち合わせスポットとして誰にも知られる忠犬ハチ公像のハチ公は帰らぬ故主の帰りを7ヵ年も駅頭で待ち続けました。以下、主に『新修渋谷区史 中巻』より。

ハチ公の生涯

ハチ公は大正12年11月(1923年)に秋田県大館で生まれた純粋の秋田犬です。色は淡黄色、両耳は直立し、尾は左巻き、肩の高さ2尺1寸3分、体重11貫200匁、元気旺盛の時は14貫もあったといいます。

生まれた翌年、東京帝国大学農学部教授上野英三郎に養われ、彼は犬と食事を共にするほどの愛犬家であったといいます。渋谷町大向(現在の松濤一丁目)の自宅から渋谷駅まで常にこれを伴い、ハチ公もまた主人の帰る頃には駅前に出迎えるのが恒例でした。しかるに大正14年(1925年)5月に上野教授が急逝してから後も、預け先から故主を慕って逸走し渋谷駅頭に帰りを待ち続けました。そのいじらしい哀情が東京朝日新聞で伝えられてから全国にその名が高まりました。昭和9年(1934年)には銅像も作られましたが、翌10年3月に13歳で病没しました。墓は青山墓地の上野博士の傍らに設けられ、遺骸は剥製となって国立科学博物館に保存されています。

忠犬ハチ公の写真(白根記念渋谷区郷土博物館提供)

ハチ公銅像

初代ハチ公像は帝展審査員安藤照氏の手になり、昭和9年4月21日に除幕式が行われました。台座の高さは180cm、像高は162cmであったといいます。ハチ公自身も式に参列しました。しかし、昭和19年(1944年)に戦時中の金属回収令により鋳つぶされてしまいました。
現在の二代目ハチ公像は安藤照氏の子息・士氏の手になり、昭和23年(1948年)8月15日に除幕式が行われました。
生誕の地の秋田県大館の駅頭にも銅像が建てられています。

ハチ公銅像

参考資料

『ハチ公文献集』(林正春 1991年)

ハチ公調査のもっとも基本的な資料です。

所蔵館: 中央・本町・こもれび大和田・保存庫(S13)

『新修渋谷区史 中巻』(渋谷区 1966年)

「名所・旧蹟・文化財」の項にハチ公の銅像(1372ページ)の解説があります。

所蔵館: 全館(S12)

そのほかにもハチ公関係の資料を下記一覧で紹介しています。

ハチ公関係資料一覧(PDF:133.6 KB)

(2014年11月1日回答作成)